宮古島レポ…3 三が日真ん中

「新年明けて二日目…確かこの日はゲーセンに行ってきたんだっけ」
「迷子になったりはしませんでしたか?」
「こやつめハハハ」
「知らない土地でしたし、道を覚えてないかなあと思って念のために」
「…1時間だけね」
「図星ですか…」
「その帰りに叔父さんに拾われてドライブにね。正直来た道戻るの面倒だったからちょうど良かったわ」
「…あなたって人は……」
「そういや、いつぞや夏休みにウチに泊まりにきてたあの従兄弟の子もいたわ。何故か」
「……」
「もうウz…ゴホン。さ、気を取り直していきましょう。まずこれ。私のお気に入りよ」


「…まーたしょうもない……」
「――と思ったら大間違いなのよねコレが!」
「なだらかな山を二つ撮っただけじゃ?」
「そう、その山。…何て呼ばれてるか知ってる?」
「いえさっぱり。名前があるんですか?」
「『おっぱい山』」
「…………」
「いやホントだって!嘘なんてついてないわよ!叔父さんもそう言ってたんだし」
「…もう、その…何と言ったらよいか」
「正式な名前とかもわからないんだって。いつの間にかそう呼ばれていたみたい」
「そんな情報いりません」
「ノリ悪いわねー…」
「他にないんですか?」
「ちゃんとしたやつがお望みなんでしょ?出すわよ…ホラ」



灯台ですか」
宮古島の最東端にある『平安名埼灯台』よ」
「ほー…生灯台なんて初めて見ます」
「生じゃないでしょ生じゃ。生を見たのは私」
「隣の海は灯台の上から…じゃなさそうですね」
「本当は灯台の上まで登れたんだけどね。なんか開放時間が決められてて入れなかったのよ。もう少し早ければ…」
「うーん…残念」
「書いてあった看板をちょっと読むわね。
『落書き帳より――「日本三景にも勝る絶景かなの一言です」「階段きついけど登ってみる価値アリ(はぁと)」「はっきり言って150円は安い」』」
「看板まで撮ってきたんですか」
「いやホラ、書いてある事もキープしておけば今この場でも説明しやすいかなーって」
「撮るもの間違ってません?」
「間違ってないわよ」
「…そんな真顔で言われても」
「はーいじゃ次いくわよ。と言ってもこの灯台付近で撮ったものばっかりだけど」


「一面緑色ってのもなかなかいいなあと思ってつい。あと夕日も」
「ほーう」
「シケたコメントも流して次」


「岩…ですか?」
「墓よ」
「墓?」
「そう。あ、大きさは左端の叔父さんと比較してください」
「…で、誰の墓ですか?」
「『マムヤの墓』」
「…マムヤ?」
「えーと…『マムヤはニフニリ(香草の名)の芳しい香りのする絶世の美女として伝える』ってあるわ」
「ふむ」
「それでー……要約ね。ある妻子持ちの男がマムヤと恋仲になるんだけど、男は『やっぱ妻がいいや』とか言って
マムヤを見捨てるのね。それでショックを受けたマムヤがこの辺――平安名埼の崖から身投げして、
母親も泣いて『もう美人なんて産まれるな!』って神様に祈ったらしいわ」
「……そんな話を端折るのはひどいんじゃ」
「まあ、ホラ。中の人全部書くのはめんどくさがってるし」
「誰ですか…」
「細かいことは気にしない気にしない。さ、次の写真」


「こんなんあったのでつい撮っちゃいました」
「人力車ですか。でも何でこんな所に…」
「それは人力車引いてるおっちゃんに聞いてね」